省エネ大賞受賞【設計者のひとりごと③】
設計の中村です。
省エネ大賞受賞までのこぼれ話を連載で掲載しています。
①は1次審査、②は2次審査のお話でした。
今回は2次審査を通過して、3次審査の現地審査のお話です。
2024年10月、現地審査の連絡が来ました。
説明する内容は、以下でしたので、ほとんど準備はしませんでした。
①建物概要と管理・運用状況の説明
私から年に30回ほどお話ししているいつもの内容をそのまま説明。
②応募事例の説明
日建設計さんから2次審査と同じ内容で設備関連のエネルギー分析の説明。
③現場調査
いつもの見学ルートでいつもと同じことを説明。
現地審査当日は、私からのいつもの説明と、日建設計さんからのエネルギー分析を含む設備の説明を行い、
私への質疑はいつものままであまり困りませんでしたが、
設備専門分野の質疑は今回は日建設計さんに対応して頂きました。
<質問のうちの一つ>
外断熱の効果を説明して頂いていますが、
外壁の構成順序が違っても熱貫流率は外断熱も内断熱も同じとなります。
外断熱が優れている理由を理論的に説明してください。
このあと審査員と日建設計さんで約10分理論的に討論しておりました。
当日、私は口をはさみませんでしたが、以下、理論的ではありませんが私なりの回答です。
外壁の断熱構成による熱貫流率が同じであることは理解しており、
空調運転時の外気温と室温の差は、外断熱も内断熱も同じです。
輻射熱を躯体に蓄熱することで室内環境を安定させて快適性を向上するとともに、
空調を運転していない時間は躯体からの放熱により空調運転時間を低減できます。
建物の部屋を短時間空調する場合には躯体へ蓄熱させるエネルギーは増えますが、
自然エネルギーを利用した少ない消費電力で、
土日も日中は全館空調しているこの建物には適した空調方式になります。
外断熱躯体蓄熱の考え方を実証実験するためにこの建物を作り、
体感しながら温熱環境とエネルギーの分析を継続しており、
現在はエネルギーを削減しながら快適に過ごしています。
現場調査ではいつもの見学会のように館内各所で省エネ技術の説明を行い、井水槽、太陽熱集熱器などの設備、壁面緑化などの日射遮蔽技術をご覧頂きながらながら、質疑・回答を行いました。
説明会場に戻ってからもたくさんの質疑がありました
最後の質疑は、「この省エネ大賞の応募目的は?。」でした。
私からの回答
本日はこの建物をモデルにした普及活動についてもお話しさせて頂きました。
受賞ができれば広い範囲に知名度を上げることができ、
さらに積極的に省エネ建築物の普及活動を行うことができると考えています。
2024年12月16日、
「2024年度 省エネ大賞 省エネ事例部門 資源エネルギー庁長官賞(ZEB・ZEH分野)」
の受賞が発表されました。
受賞式は、2025年1月29日より東京ビックサイトで行われる、
「ENEX2025 第49回地球環境とエネルギーの調和展」の会場で行われ、受賞事例として出展します。
これまで地域の皆様に支えて頂き、その功績と今後の期待によって受賞することができました。
国の施策であるカーボンニュートラルに向けて、
建築物は2030年にZEH、ZEB水準の省エネ性能が求められます。
私たちは、自社の実証実験棟を地域の皆様にご覧いただいて省エネ技術をご利用いただき、
自社設計では費用対効果が高い省エネ技術を採用し、地域に省エネ建築物が増えることを期待しています。
今後ともご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
Written by 設計部中村